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  • 坪井あや(JACST隣接部会 / Kavli IPMU)

ファンダメンタルズ パーク2022夏を開催しました

更新日:2 日前

2022年8月20日土曜日、10:00から12:30にかけて、オンライン非公開でファンダメンタルズパーク夏を開催しました。

このプログラムは、ファンダメンタルズプログラム応募者を対象として非公開で実施するものです。目的の1つめは他のファンダメンタルズがどのような交流をしているのかを相互に知ることで、方法論を共有すること、及び、当該のペアには気づかない視座の交換を期待すること。もう1つは、普遍・真理にまつわる研究を行う哲学研究者からのコメント及び話題提供により、ペアの交流をより広い視座において検討する機会を提供することにあります。



前半は、2021年度応募の冨田秀一郎さん(発生生物学)と前川鉱士さん(アーティスト)のペアによる現在までの交流の紹介、それについて秋葉剛史さん(分析形而上学)と桑原俊介さん(美学)からのコメント、後半は桑原さんによる「趣味と想像力」と題した話題提供の後質疑を行いました。その後gatherに場所を移し懇親会を行いました。


10:00 intro 10:10 発表:冨田秀一郎(発生生物学)x前川紘士(アーティスト)|15分 10:25 議論|30分 10:55 セミナー:桑原俊介(美学)|30分 11:25 議論|30分 12:00 closing


参加者は、科学研究者6名、哲学研究者3名、アーティスト8名の合計17名でした(登壇者含む)。

フィードバックは登壇者含め7名からあり、内容については前半、後半ともに、全員満足という回答でした(「満足」「やや満足」)。時間配分については、前半の発表と、セミナー議論パートについて1-2名から短いという回答がありました。ほかは、ほぼ全員ちょうど良いという回答でした。


参加して得た収穫としては、

  • 前半の交流紹介は、具体的な交流プロセスがわかって参考になるという意見がアーティストから複数寄せられた。

  • 後半セミナーについて、大学受験勉強の知識と今日まで取り組んでいたことの意義がつながった(科学)、18世紀の美学史をコンパクトに追えた(アーティスト、哲学)という意見。

  • 他に、科学者の側でこの企画に参加する意義として、冨田さんの自分が何がわからないでいるかをはっきりさせるとか、類型的な捉え方とは違うものを出すためにアーティストを利用できるのではないかという発想は新鮮に感じた。(哲学)

  • 整った哲学史記述には整理する人の視点が反映される。スピーカーの視点を確認できたことが勉強になった。(哲学)

等がありました。


前半の交流紹介について、

  • 接点のなさそうなペアの事例(試行錯誤の積み上げ)を取り上げたのは理想的だった(科学)わからないものをわからないまま受け止め、科学者とアーティスト間で交流がなりたっているのは稀有(アーティスト)、硬直的な計画や固定観念的なものをなるべく排して取り組もうとされているようにみえ、感銘を受けた(哲学)など、交流のあり方の印象が強く残ったという意見が多かった。

  • 他に、富田さんの「ここは何を言ってもいい、普通ならめんどくさいと思われるようなことも言っていい場所」「全体像はわからないけど、交流を続けると理解の解像度が上がってきた」というコメントが印象に残りました。(アーティスト)

  • 相互影響がどう出てくるのかを見るには中長期的なタイムスパンが重要なペアパターンなのかなと。(哲学の)造形の裏の意図の答え合わせ的な落とし所が必要なプロセスなのかを問うコメントも面白いポイントだなと思った。(アーティスト)


改善点は、

  • 通常よりも距離感のある三名それぞれの視点が交錯しているからかコメントが挟みにくかった。2chみたいにコメントを残すといいのかも?(アーティスト)

  • うまくいきにくい事例も具体的に知りたい、もう数組のケーススタディも知りたい(アーティスト)

  • (発表時間がおして議論の時間が短かったので)発表と議論の時間配分については工夫の余地がある(哲学)


後半のセミナーについては、

  • 美や芸術や美学といった観念の成立過程について、現在のわれわれが何となく前提しているような見方を相対化させてくれるような材料を提示してくれてありがたかった。(哲学)

  • 趣味の発生は現在にもセンスや質を語る際に根深く存在しているし、知性と感性のバランスをどう意識すべきかは多くの美術家が向き合わされる問題。(アーティスト)

  • 各時代での「公式見解」のようなものとは別に、それぞれの時代では傍流的な美の捉え方もあったのかも、とすればそれも知りたい(哲学)

  • 大変学びの多い話だった。(科学)

  • 一般向けに講演する際、用語の使い方(一般向けとしては抽象的すぎる)にどう配慮しているか知りたい(科学)

  • 知性も納得することも未経験の、生まれたばかりの赤子にとって、「趣味」から生まれた美は感知できない(存在しない)ものなのかもしれない。(アーティスト)

改善点としては、

  • 内容に追いついていくのが精一杯で、質問コメントをすぐに返せない。(アーティスト)

  • 哲学の扱いは近代メインなのが少し気になる。現代性を語るために近代から始める必要性がある、という意図なのであれば、そこの意図をより明確にしても良いと思う。(アーティスト)

  • 美学史を扱った発表に対するアーティスト側のコメントをもう少し聞きたい。アーティスト側を代表するコメンテーターを事前に指定してもよかったかも。(哲学)


他自由意見として、

  • 2次会に(gather town)移行するのが、やってみると話が発展して面白かった(アーティスト)

  • 自分の中に生じた何かを形にしたいという根源的欲求のようなものについて、たとえばメルロ=ポンティ(20世紀のフランス哲苦者)の表現論などは参考になりそうな気がした。彼によれば、「表現」という営みは芸術や科学においてはもちろん、私たちの日常的な言語使用や知覚の場面などでもみられるある種普遍的な営みであるので。(哲学)

  • 「細分化」は「解像度の向上」と捉えることができるのかと。解像度と捉えるためには、「全体」を眺める視点が発生している。少なくとも距離をとって眺める視点。ファンダメンタルズに関心を持つ人は、なんらかの「集団の外側」にいることを繰り返す経験を持つ人が多いのではないかなと感じた。(アーティスト)


次回の課題としては、時間配分について再考、提供話題選定の意図の説明時間を設ける、提供話題のテーマは1つを掘り下げる方向だと質問が出やすくなる?、といった点を検討したいと思います。


次回パークは、11月26日(土)に非公開で開催予定です。



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