オンライン連続セミナー「ファンダメンタルズ トーク」では、「ファンダメンタルズ バザール」当日の交流をより深いものとすることを目的に、人文・美術分野の専門家を招聘して科学の本質や美術の本質にまつわる多様な視点を提供する包括シリーズと、隣接部会のメンバーが所属する研究機関の研究者が自身の研究内容を伝えるサイエンスシリーズを、全10回程度、月に1度程度交互に実施してゆきます。
ファンダメンタルズの企画趣旨の説明会を兼ねています。是非お気軽に質問をお寄せください。
第4回目となる今回は、美術評論家・芸術学の専門家をお招きし、マルセル・デュシャンを例に"芸術と科学のあいだにあるものによって引き起こされる現れ"を探ります。なお、著作権保護の必要があることから、今回は事前申込が必要です。アーカイブ配信では一部参考資料を削除の予定ですので、ぜひお申し込みの上、当日ご視聴ください。
スピーカー
中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。1981年東京都生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。現在は多摩美術大学非常勤講師、立教大学兼任講師。
近現代芸術に関する評論を執筆。特に、マルセル・デュシャンが没頭したチェスをテーマに、生活(あるいは非芸術)と制作の結びつきについて探求している。著書に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017年)。編著書に『スポーツ/アート』(森話社、2020年)。監訳書にマシュー・アフロン『デュシャン 人と作品』(フィラデルフィア美術館、2018年)。主な論考に「50年あるいは100年後の鑑賞者──日本・マルセル・デュシャン論再考」(『美術手帖』2019年2月号)」など。
モデレータ:坪井 あや(JACST隣接領域と連携した広報業務部会/Kavli IPMU 広報)
立教大学社会学部、Chelsea College of Art卒業。Ongoing;作家による公募互選プロジェクト立上げ、谷中ホテル;4畳半の私設展示室設立を経て、2009年からKavli IPMU。Kavli IPMUの科学を単独で広報するパブリックプログラムに加え、アーティストインレジデンスや、科学者と哲学者のトークなど、科学・哲学・美術をつなげたパブリックプログラムを行う。
テーマ
「芸術と科学のあいだにあるもの──マルセル・デュシャンにみるレディメイドの発生」
芸術にとっての科学、科学にとっての芸術、それらが互いに付属的なものであるのではなく「何か別なものへの窓」を開く可能性であってほしい。20世紀初頭においてマルセル・デュシャンが、作品をつくるのではなく、日常的な「既製品」を選ぶことで作品の位置を与え、そして同時に剥奪しようとした「レディメイド(readymade)」の概念は、芸術と非芸術の境界を揺るがし、従来の芸術における「制作」「作品」「鑑賞」の全てを一変させ、近現代芸術のパラダイムシフトを引き起こした。しかし、この近現代芸術に多大な影響を与えたレディメイドという概念の誕生に、科学が大きく関与していたことを知っているだろうか。それは単なる芸術的/科学的なヴィジュアライゼーションでも、コンセプトの共有でもない。そのどちらにも属さない現れにおいてこそ、レディメイドというパラダイムシフトは発生したのではないか。芸術と科学のあいだにあるものによって、何が引き起こされるのか。その現れの一端を見てみたい。
プログラム
19:00-19:05 イントロダクション
19:05-19:15 「ファンダメンタルズ バザール」趣旨説明と質疑
19:15-20:15 講義
20:15-20:30 質疑
*当日の状況により、時間は前後する可能性があります
概要
タイトル: ファンダメンタルズ トーク vol.04 芸術と科学のあいだにあるもの──マルセル・デュシャンにみるレディメイドの発生
日 時: 2020年11月20日(金)19:00- (90分程度、後日アーカイブ配信あり)※著作権保護のため一部参考資料を削除する予定です
会 場: オンライン開催(JACST 隣接領域と連携した広報業務部会 Youtubeチャンネル)
対 象: 現代の美術に携わる方々、最先端科学を中心とした分野の研究者、中高生/大人
参加費: 無料
定 員: なし
申 込: こちらからお申し込みいただいた方に、視聴URLをお送りします。
主 催: 科学技術広報研究会(JACST)隣接領域と連携した広報業務部会
共 催: 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)
助 成: 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
協 力: 大阪大学大学院理学研究科